S&A: 風立ちぬ

大英博物館の特別上映に行きました。

客席の外国人と日本人の比率は7:3くらい。


本編上映後に、先日行ったマンガ展のキュレーターや

ジブリポッドキャストのプレゼンターによるパネルディスカッションがあったので残って聴講したのですが、客席との質疑応答も含めとても興味深かったです。

「この作品は平和主義者でありながら常に自作品の中で兵器を扱ってきた宮崎監督が、相反する二つの要素と向き合わざるをえない作りになっている」という話など、ハハーンなるほど…と頷くと同時に


■ 菜穂子、二郎との再会を熱望していた割に軽井沢で出会った二郎を分からない件

■ 二郎の想い人はどう考えても菜穂子より女中の絹な件


など特に恋愛パートへの指摘が鋭くて、たーしーかーにー!と思いました。

菜穂子が結核で死ぬ悲劇にロマンスのカタルシスがあるので、後でウィキで調べて二郎さんの実際の奥様が子宝にも恵まれ健在だったことが分かると、なんだ!よかった!と安心しつつどうしてもちょっと「んー…」という気持ちにはなりますね。

飛行機と戦争の話が女性受けしないことを懸念した製作側が、女性アピールのために後付けしたビジネス恋愛設定だと知ればなおさら。


客席からの質問で、白髪の年配女性(推定フランス人)の「私は政治的な含蓄は考えず、この映画をただあの時代に生きた男女の話と思って見た。それではダメなのか」というコメントにパネルは「全然ありだと思います」と返していたけれど、現代の価値観で作った映画に戦争が(たとえ背景の一部だけでも)出てくれば、それに触れても触れなくてもそれ自体が作品の政治的スタンスということになるしな…難しい…


あとパネリストの一人が「この映画は、二郎のように優秀で他意のない個人が、結果的に戦争という悪事に加担してしまった歴史についてどう向き合うべきか決めかねている」というようなことを言っていて(ニュアンス)、うん、それ戦後の日本国民の課題みたいなやつ!逆に聞くけどどう向き合うのが正解と思う!?とちょっと広げてみたいテーマだった。

0コメント

  • 1000 / 1000