『Manga・マンガ展』@大英博物館
大英博物館で開催中の『Manga・マンガ展』に行きました。
日本以外では世界最大規模のマンガ展だそうで、
ずいぶん前からポスターも見かけて現在話題沸騰中なので
知り合いの日本人全員に会う覚悟で行きましたが
私が行った日は意外にも非日本人が多勢で、その割に誰もコスプレしていませんでした。
■ 鳥獣人物戯画から始まるマンガの原点、マンガの神様・手塚治虫の出現、
コマ割りや吹出しなどのマンガの文法と演出、
マンガのメディアミックス展開、スポーツマンガやホラーマンガなどのサブカテゴリ、
社会でマンガが担うコミュニケーション、教材としてのマンガなど、
マンガにまつわるトピックが多角的に網羅されていて
とてもバランスの取れた展示だったと思います。
作品も鉄腕アトムや明日のジョーに始まり、ヴァガボンド、聖お兄さん、海月姫にワンピースに進撃の巨人、スラダン、コナン、ポケモンにドラゴンボールと
海外の知名度も考慮しつつ有名どころは一通り全部揃ってた。
■ ジブリ作品や元祖鉄腕アトムのアニメなど
映像の展示もあるにはあるのですが比較的控えめに抑えてあって、
キュレーター陣の「ここらは触れないわけにもいかないけど
これ以上はマンガでなく厳密にはアニメの領域…!」という自制心を感じた。
BLについても割とさらりと流してあり、(「昨日何食べた?」の展示はあった)
でもこれは同時期にJapan Houseで開催の
LGBT+: Diversity in Manga展がメインで扱うからかな?と思います。
他にもところどころ不在が目立つ部分はありましたが
(例:手塚キャラはいるのにドラえもんはいない、
リボンの騎士はあるけどガラスの仮面やベルばらはない、
「ちはやふる」はあるけど「ときめきトゥナイト」や矢沢あい作品はない)
ここらへんは出版社の協賛事情な気がしました。
■ 後になってもうひとつ、そういえばなかったなーと思ったのはマンガ雑誌の情報。
「少年マンガ」と「少女マンガ」のカテゴリ分けの前提に
まずジャンプ・なかよし・花とゆめなどの掲載誌の違いがあって、
というかマンガの多くは雑誌で連載の形を取っていて、
読者は人気作品の連載を雑誌で追いつつ後にコミック化された単行本を買うという
一連の流れを海外の人はおそらくあまり知らない。
■ 欧米では子供の読み物のイメージが強いマンガだけれど
「日本では文字・絵画に並ぶ媒体のひとつであり、題材を一切選ばない。
マンガの読者層は日本のほぼ全人口で、娯楽以外にも日常的に消費されている」
というのはとても重要な情報だと思うので、
それが明確に実感できる作りになっている点が良かった。
外務省のポスターになったゴルゴ13や
車椅子バスケを描いた井上雄彦の「リアル」がこれにあたる。
考えてみれば、日本で生まれ育った日本人で
何かしらのマンガを一度も読んだことがない人は
まずいないだろうと思うとすごいですね。
■ Bleachやデスノートの英語版のコミックが
海外でも普通に手に入るようになって久しいですが、
私自身は英語でマンガが読めません…。
昔、冷やかしで英語版セーラームーンのマンガを開いて
変身シーンのオノマトペにアメコミみたいなフォントで
「GLITTER~!!」って書いてあるのを見て
あっ、ダメだ!って思って以来それきりです。
私は日本のマンガ文化の繁栄の背景には
日本語の擬音の豊かさがあると常々思っています…。
■ パネルを見ていて興味が沸いたので、「ポーの一族」は今度読んでみようと思いました。
あと友人に「地球へ…」をお勧めされたのでこちらはアニメで見ようかな。
ポスターのキービジュアルになった「ゴールデンカムイ」も
熊のトラウマを乗り越えてやっぱりちゃんと読み進めたい。
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